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道教医学・董氏奇穴針灸学に関する講習会のご案内/東京 自由が丘 7.23

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臨床会 6月26日    

1.行針手法十四

⑴ 爪切

針の原点:経刺:爪、絡刺:歯

①爪(補法:神経麻痺):刺針後、軽く(優しく)患部を爪でこする。
ex.顔面神経麻痺 顔の左側の麻痺の場合、右側の合谷(大腸経の流注は、反対側の迎香で終わる)を刺針後、患部をこする。

②切(瀉法:痛証・痹症)
⒜刺針したい部位に爪で痕をつけて、刺針する。
(経絡とクロスするように、もしくは十字に痕をつける。)
⒝ 切皮時に、爪を押し込むと同時に刺針する。  ※不衛生なのでしない方が良い。

⑵ 循按

①循(経絡証・痺れ):刺針後、刺針部位以外の経絡にをさする。
  ※経絡の流注に沿ってさすると補法
  逆らってさすると瀉法
②按(瀉法:臓腑病):刺針後、臓腑のある部位をさする。
ex.肝臓病の場合、中渚を刺針後、右季肋部を軽く按摩する。
 胃痛の場合、尺沢を刺針後、胃脘部を軽く按摩する。

⑶ 捫攝(眼針用)
①捫(補法):刺針後、親指の爪で、針柄を針柄から針尖の方向に9回こする。
②攝(瀉法):刺針後、親指の爪で、針柄を針尖から針柄の方向に6回こする。
※眼の周りは特に内出血のリスクが高いので、抜針は以下の手順で行う。
1)針を少しだけ刺入する。
2)刺入した長さの半分くらいの位置まで針を退かせ、1分間ほど針を置く(出血した血液を毛細血管に吸収させるため)。
3)完全に抜針する。

⑷ 留動(痛痹(特に歯の痛み))

①留(補法):手技を行った後、針柄をつかんで、針を動かさない(髪の毛を掴む要領)。
 ※置針≠留針

②動(瀉法):刺針後、針柄をつかんで、上下左右に針を動かす。

⑸ 進退(補瀉主法)
※扁鵲の補瀉法
①進(補法):針体の半分ぐらいを刺針後、手技を行い、得気を得たら、さらに深く針を進める。
②退(瀉法):針体の半分ぐらいを刺針後、手技を行い、得気を得たら、浅い位置まで針を退かせる。

⑹ 弾揺
※なかなか治らない場合に使うが、董師奇穴の方が効くので、実際にはほとんど使わない。
①弾(大補):刺針後、針柄を指で弾く(9回)。
②揺(大瀉):刺針後、針柄を指でつかんで揺らす(6回)。

⑺ 撚搓(補瀉副法)
①撚(補法):針を双方向(時計回り・反時計回り)に回す。
②搓(瀉法):針を単方向に回し、筋繊維を絡めとり、抜針する。一番良く使うのは絶骨。

技術は進化するので、必ずしも昔の方法が良いわけではない。しかし昔の人に比べて足りないのは、気の力。昔に比べて今は娯楽が多いので、それにとらわれて気が外に発散してしまう。できるだけ素朴な生活を送り、気の鍛錬をすべき。

2.透針九法

⑴ 上部三針
①風池双透
②天容双透 甲状腺、久病の咳、頚の病気
③天髎透曲垣

⑵ 手部三針
①養老透間使
②肘下透曲沢
③雲門透肩下 肺結核

⑶ 足部三針
①気血二海
②条口透承山
③飛揚透膝下(腎関)

主治が書いていないものは、2016.6.19 洋組第3回参照

3.脈診大腿五穴大接経 非公開
2016.6.19 洋組第3回参照



臨床会 5月29日    

1.不妊症
〔基本配穴〕
①百会
②列欠・公孫・中渚・三陰交
③環巣穴・婦科穴

〔部位別〕
基本配穴のあと、問診により刺す。

1.不妊症
〔部位別〕
王先生                    董師奇穴
卵巣 石門と石門の外方1寸    次髎の上方1寸     公孫   二重
卵巣管 関元と関元の外方1寸  次髎            然谷   肩中穴※3
子宮 中極と中極の外方1寸    次髎の下方1寸     照海※2   仙骨刺絡
※1 子宮穴:孫思邈の奇穴
※2 生理が来ない時にも効く。
※3 三角筋の硬い人は、臀部の筋肉も硬い。生理が来ない場合にも有効。

公孫を刺して、患者さんが
痩せている 照海 火が多い
太っている  然谷 痰が多い

☆痰について
合谷・豊隆 呼吸器系の痰
列欠・豊隆 精神疾患の痰


人中 呼吸器・消化器系が悪い、腰が痛い場合
承漿 頚・肩が悪い場合

〔女性の疾患でなかなか治らない場合〕
①神闕から下方任脈にそって刺絡
②三陰交から太渓までを刺絡(右足) 女性の疾患は右の方が効く(至陰も右が効く)
③姐妹穴(腎兪+関元にも負けない効果がある。)

列欠:任脈
公孫:衝脈
中渚:腎(①少陰・少陽②中渚の裏は少府(少陰)③腎兪や命門と同じ効果)
  中渚の部位:第4・第5中手骨の接合部
 中渚の刺法:尺側から撓側に向かって横刺
 :液門透中渚:咽、疲れ、微熱の場合

三陰交:脾・肝・腎

〔補法と瀉法〕
一般的には、
補法:経絡の流注の方向に逆らって横刺
瀉法:経絡の流注の方向に沿って横刺

百会の場合
補法:前方に向かって横刺
瀉法:後方に向かって横刺

血圧・心拍数・体温が高い場合、瀉法をする。
※王先生の御父上の場合、百会を刺絡。
内迎香でもよい。


・習慣性流産:大腿脾穴・腎関・大腿腎穴・足三里

〔虚証の場合〕
①気海・血海(龍門鍼灸)
②大腿脾穴・腎関・大腿腎穴・足三里(王先生)

・肩井・合谷・三陰交:堕胎に使うが、出産困難の場合にも使える。
・つわり:大腿心穴(つわりはVB6不足)
・生理痛 三陰交~太渓を刺絡、足の五虎穴(これより効くツボはない)
生理痛の予防に大腿脾穴・腎関・大腿腎穴・足三里

経血が少ない時の治療:合谷・三陰交(瀉法)
経血が多い時の治療:曲池・血海(補法)

生理の周期の問題   任脈(列欠)
生理の経血の量の問題 衝脈(公孫)・太衝
生理の色が黒い    仙骨刺絡

生理の量が少ない場合、栄養補給として卵2個をゴマ油でいためて、醤油とハチミツをかけたものを食べてもらう。

2.臨床上の取穴の仕方〕
目の幅は1寸5分。取穴する際には、患者の目を見て、長さを測る。

3.王先生の御父上の治療法
気海・血海
痛み:合谷・太衝
五臓:内関・三陰交
虚証:曲池・足三里
五十肩:曲池
頚:承山(上に向けて刺す)

4.目の病気
絶骨に灸
眼穴(後頭部。瞳孔の真裏。)

・絡刺と灸は患側
・経刺は健側

〔灸頭鍼と灸〕
・灸頭鍼:確実に補法が出来る。
・灸:癌と目の病気に特によい。

5.体力の消耗について

・金針は体力の消耗が激しい。
・昔の道教では、体力の消耗を防ぐため、15~18歳の男女4人に針を打たせていた。先生は治療を指示するだけ。
・普段から瞑想等、気功の訓練を行って、体力の消耗を防ぐべき。
・患者の臭いも邪気の一種。塩水で鼻を洗ったり、空気清浄機を治療室においておいた方が良い。

6.針の使い分け
天気が悪いとき 針は長め(補法のため)
天気が良いとき 針は短め

久病:9本以上
病気の調整:5~7本
7.王先生の臨床例
40年間止まらない咳。親指の爪が生えてこない。

→肺経に問題がある。
列欠・照海・合谷・復溜
大腿肺穴・大腿腎穴
大椎刺絡(一番変化があった。胡文智先生も大椎刺絡を重視する。)

昔の日本の先生の本は素晴らしいので、よく読むこと。台湾や中国の先生のように大事なところを隠したりしていない。




臨床会 4月24日 

臨床会 4月24日

1.基本
⑴ 刺針の基本

合谷.png

・刺針の際に重要なのは、①向き、②深さ、③刺激量  
・虎のしっぽをつかむような意識をもって針を持つ。
・呼吸をしないで刺す。
・例えば、下腿前面を刺す際には、前面を意識するのではなく、下腿後面まで貫くような意識をもって刺す。
・赤ちゃんを殺す心をもって刺す。

⑵ 取穴の基本
治療時病状が出ていない場合  →  押さえて痛い部位
治療時病状が出ているある場合 →  押さえて痛みが緩和する部位

2.列欠
〔取穴〕
①手関節横紋(X)と肘尖の中点(A)を取る。
②AとXの中点(B)を取る。
③BとXの中点を取る。
④絡穴なので、肺経と大腸経の間に取る。

〔刺針法〕
・撓側から尺側に向けて刺す。
・遠くの部位に効かせたい場合(頚、血尿)、久病、補法をしたい場合は、深く刺す(1寸6分位)。
・頚、頭痛の鎮痛の目的で治療する場合は、橈骨に付くように刺す。
・咽の痛みや呼吸器系を治療する場合は、橈骨から少し離して刺す。

〔代表的な配穴〕
列欠・照海 列欠・豊隆(原因不明の病気)

3.合谷
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〔取穴〕
沢田流合谷(霊骨穴)と同じ。
〔刺針法〕
・撓側から尺側に向けて刺す。
〔抜針法〕
・内出血を防ぐため、刺針した深さの1/2を抜針してしばらく置く。その後、完全に抜針する。
〔代表的な配穴〕
合谷・復溜  合谷・太衝

4.足三里
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〔取穴〕
脛骨前縁の外縁。→ 下腿の胃経の経穴(豊隆以外)は、すべて脛骨前縁の外縁に取穴した方が良い。
〔刺針法〕
脛骨前縁の外縁の骨膜を擦るように刺針する。
〔代表的な配穴〕
手三里・足三里  曲池・足三里
※側足三里
足三里の外方、前脛骨筋の外縁。
側面の疾患(三叉神経痛、顔面神経麻痺など)


5.三陰交
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〔取穴〕
背が高い人は、内果から少し長めに、低い人は短めに取穴する。絶対に3寸というわけではない。
足首の幅の真ん中あたりに取穴する。
〔刺針法〕
痹症の治療の場合は、脛骨内側下縁の骨膜を擦るように刺す。
〔代表的な配穴〕
合谷・三陰交


6.公孫
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〔取穴〕
水かきとかかとの間。舟状骨の下際。
※足内側部の経穴
照海:内果の直下。踵骨の下際。
然谷:公孫と照海の中点。
太白:水かきと公孫の中点。

7.陰陵泉
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〔代表的な配穴〕
尺沢・陰陵泉

8.血海
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〔取穴〕
膝蓋骨内側上縁の上方2寸。内側広筋内側頭の隆起部。

〔刺針法〕
大腿骨に針尖が付くまで深く直刺する。骨を刺激しないと、血は作れない。
〔代表的な配穴〕
曲池・血海  肩中・血海

9.神門
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〔刺針法〕
手関節横紋の下方から斜刺。横紋が門。門の下をくぐるように刺す。豆状骨の撓側の際まで刺す。
〔代表的な配穴〕
神門・太渓(不眠) 神門・足臨泣(出血)

10.後渓
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〔取穴〕
感情線の起始部。拳を握った際にできる隆起部。

11.委中
絡刺でないとあまり効き目はない。経刺の場合は、上委中(委中の上方1寸)の方が効く。

12.太渓
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〔取穴〕
通常の太渓の位置よりも前方。内果の後縁。
〔代表的な配穴〕
神門・太渓

13.内関
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〔刺針法〕
下方に向けて斜刺。
〔代表的な配穴〕
内関・公孫 内関・足三里

14.中渚
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腰、肝臓、救急、疲れに効く。
〔刺針法〕
①撓側に向けて斜刺。第4中手骨の前面をくぐるように刺す。
②疲れの場合は、液門透中渚(三叉三穴)。
〔代表的な配穴〕
中渚・肝関(小便異常) 中渚・足臨泣(出血・結石)

15.絶骨
無題14.png
〔取穴〕
内果尖の直上3寸。
〔刺針法〕
①最初は腓骨筋の腱の前方を直刺する。②針尖を後方に向けて、腓骨筋の腱の下をくぐらる。③針尖を前方に返して、腓骨の下をくぐらせる。
〔代表的な配穴〕
中渚・絶骨 合谷・絶骨 支溝・絶骨

16.太衝

鼻の病気、鼻血に効く。
〔取穴〕
第1、第2中足骨の接合部。
〔刺針法〕
足底部に向けて直刺。
脊柱管狭窄症の場合は、裏太衝


17.臨床例
⑴ 耳鳴り(急性)
中渚(液門透中渚)・腎関
耳門、翳風(瀉法:針柄を6回指で擦る(針尖から針柄の方向へ)。)

⑵ 食後にお腹が痛い
空腹時お腹が痛い:胃潰瘍
食後お腹が痛い:十二指腸潰瘍 
→ 梁門
  足三里から上巨虚の間を押さえて痛い部位。
  尺沢(急性の腹痛に効く)
  腸門・六腑
Q:なぜ下巨虚(小腸)は上巨虚(大腸)の下にあるのか?
A:小腸は手の太陽経なので足の太陽経(膀胱経)関係あるから、泌尿系に属する。

⑶ 二日酔い
中渚、上星と神庭の間

⑷ 腰痛
坐骨穴(臀裂上端の外方3寸位のところ。圧痛がある部位)
上委中
委中(刺絡)
絶骨
二正
中渚(玉掌により、脾に反応がある場合は、合谷)
木火二穴

⑸ 膝痛み(内側)
崑崙(足):内果を横刺。痛みのある部位に針尖を向けて横刺。
崑崙(手):橈骨茎状突起を横刺。養老透支溝。

※膝外側に痛みがある場合は、外果の崑崙を刺す。